2010年6月22日火曜日

社会の良識で相撲協会に制裁を―NHKは名古屋場所TV中継を中止せよ

「野球賭博」の当事者がTVに登場して“真実”をコメントし始めたことにより、相撲協会幹部の“作り話”が崩壊しつつある。当該コラムで前述したが、相撲協会幹部、親方、力士は平気で嘘をつくように筆者には思える。暴行事件のときも薬物疑惑のときもそうだった。“謝罪”もその場しのぎのものばかり、それが証拠に、疑惑が次から次へと湧き出してくる。

相撲協会は今回の事件をきっかけにして、反社会的勢力との結びつきを絶つことができるのか。それとも、曖昧な決着により、いままでどおり不適切な関係を続けるつもりなのか。

協会は、これまで、社会的批判を受け止めることがなかった。反省は見せ掛けで、その筋との不適切な関係を維持してきた。今回もそのつもりのようだ。協会の名古屋場所開催の意向が、そのことを物語っている。もちろん、当局・文科省・マスコミも協会を制裁することはないだろう。

だが、社会の良識が働けば、協会に法的制裁が及ばなくとも、協会を制裁することができる。その方法の第一は、生活者の制裁。人々がチケットを購入しないこと、第二は、企業の協力。企業が懸賞金を出さないこと、力士をCMに起用しないこと、第三が、メディアの協力。力士をメディアに登場させないこと、第四に、NHKの決断。公共放送がTV中継をしないこと――だ。いずれも協会の収入を断つことが目的であり、なかんずく、NHKが相撲中継を中止し、放映料を支払わないことが重要だ。NHKはこれまで、相撲協会が幾度となく不祥事を起こしながら、中継を取りやめなかった。

このたびの事件のカネの流れを大雑把に言えば、①庶民・企業等が相撲観戦のために支払ったチケット代、②企業が広告宣伝費として、力士・協会に支払った懸賞金等、③マスコミが力士・協会に支払った出演料(ギャラ)、④TV放映料・・・が協会の収入となり、その一部が親方・力士等の給料等として支払われ、受け取った力士等は給与の一部もしくは全部あるいはそれ以上の額を「野球賭博」に使い、賭け金の一部は胴元を通じて反社会的勢力の懐に入っている。つまり、相撲協会の①~④の収入は、野球賭博を通じて、反社会的勢力に流入している。

名古屋場所を開催しなければ、協会は経営的に打撃を受け、力士等に給与を払えなくなるという。当然である。一般企業が不祥事を起こせば、売上が減少し、経営は立ち行かなくなる。かりに、反社会的勢力と癒着していることが判明した企業が不買運動を起こされ、あるいは事業免許を取り上げられ、経営が危ぶまれたとしても、同情をしてくれる人はいない。当然の報いと理解される。相撲協会だけが例外とされる理由はない。

協会の収入は、賭博を通じて、反社会的勢力に流入している。協会の収入を断つことが、反社会的勢力の収入を断つことに通じる。NHKが生活者から徴収した視聴料は、TV放映料として相撲協会に入り、「野球賭博」を通じて、その筋の「収入」になっている。名古屋場所を協会が開催するのは勝手だが、NHKはTV中継を取りやめ、協会に放映料を支払うべきではない。同様に、企業等が提供する本場所中の懸賞金、優勝力士、三賞等の顕彰に係る報奨金、メディアが行う力士等のインタビュー等も同様に中止し、それに係るギャラの支払いを中止すべきだ。

社会が相撲協会に対して、その収入を絶つのは懲罰の意味もあるが、そればかりではない。賭博に関与した力士が名古屋場所を休場するのならば、日々の取組み自体が異常なものなのだから、そもそも、コンテンツとして崩壊している。協会は、名古屋場所で瑕疵のある興行を催し、それを正規の料金で見せるつもりなのだろうか。販売済みの前売り券については、もちろん、払い戻しを希望する者にはそうすべきだ。

多くの力士が疑惑により休場した結果、名古屋場所の取組みは不完全・不均衡なものとなり、通常の場所とはつりあわない相手との勝負が増えるだろう。そんな異常な本場所で「優勝」した力士に賜杯を渡し顕彰できるのか。異常な名古屋場所を見に行く人は、相撲偏愛者か、それとも・・・だと思うが。